ポイント
ドイツ語では主語の人称と数が変わると動詞の形が変わります。これを動詞の人称変化と呼びます。英語の「3人称・単数・現在」では語尾に -(e)s がつきますが、ドイツ語では多様に変化します。
lernen(学ぶ)
Ich lerne Deutsch.
私はドイツ語を学ぶ。
Er lernt Deutsch.
彼はドイツ語を学ぶ。
人称代名詞
1人称、2人称、3人称の区別は次の通りです。
1人称 : 話し手・話し手を含む集団 – ich / wir
2人称 : 話し相手・話し相手を含む集団 – du / ihr / Sie
3人称 : 話し手でも話し相手でもない第三者・話題に取り上げられる事物とその集団 – er / sie / es / sie

ドイツ語には親称(du / ihr)と敬称(Sie)の2つの2人称があります。話し手同士が互いに親しいと感じている場合は du や ihr を使って呼び合います。家族や友人、恋人、親しい同僚など身内や仲間意識を共有できる者同士で使われます。また神に向かって呼びかける時や一般社会では大人が子供に向かって呼びかける時もそうです。
それに対して Sie は互いに親しいと感じていない者、身内意識や仲間意識がない者同士で使われます。相手に対して一定の心理的な距離感を保った呼び方です。
Du lernst Deutsch.
君はドイツ語を学ぶ。
Ihr lernt Japanisch.
君たちは日本語を学ぶ。
Sie lernen Englisch.
あなた(方)は英語を学ぶ。
3つの Sie
ドイツ語には3つの Sie があります。三人称単数の sie は「彼女」という意味で、現在人称変化の際、動詞の語尾が -t になります。
Katharina lernt Englisch. Sie wohnt in London.
カタリーナは英語を学ぶ。彼女はロンドンに住んでいる。
三人称複数の sie は「彼ら・それら」という意味で、現在人称変化の際、動詞の語尾が -en になります。敬称二人称の Sie は「あなた・あなたがた」という意味で、現在人称変化の際、動詞の語尾が -en になります。また文中でも大文字で書き始めます。これら3つの Sie は文頭ではいずれも大文字で始まるため、動詞の語尾や前後の文章で意味を把握する必要が有ります。
Julia und Anna lernen Japanisch. Sie wohnen in Japan.
ユリアとアンナは日本語を学ぶ。彼女たちは日本に住んでいる。
1人称、2人称の人称代名詞は人間を表しますが、3人称の人称代名詞は人間のみならず、生物や物事を示す場合にも用いられます。「机」や「椅子」などドイツ語の名詞には人に限らず事物にも文法上の性別があります。
Ich habe einen Tisch. Der Tisch ist groß.
私は机を一つ持っている。その机は大きい。
敬称2人称の Sie を除いて、ドイツ語の人称代名詞は文頭以外では小文字になります。英語の I などとは異なり、ich も文中では小文字で始まるため、注意してください。(例外は敬称2人称の Sie )
Heute lerne ich Deutsch.
今日、私はドイツ語を学ぶ。
Ich kenne Sie.
私はあなたを知っている。
Ich kenne sie.
私は彼女を知っている。
動詞の現在人称変化(規則変化)
語尾が -en で終わる動詞
動詞 lernen が主語の人称、数に応じて現在人称変化したものを示したのが下の表です。

動詞 lernen は lern という語幹と -en という語尾から成り立っています。規則変化動詞は人称変化をするのは語尾の部分だけで、語幹自体は変化しません。主語に応じて人称変化した動詞の形(lerne や lernst)を定動詞、人称変化する前の形(lernen)を不定詞や不定形と呼びます。





語尾が -n で終わる動詞
以下の動詞は、主語が一人称複数 wir 三人称複数 sie 敬称 Sie のとことで人称変化語尾は -n だけです。

lächeln のように語幹が l で終わっている動詞は主語が一人称単数 ich のところでは l の前の e を脱落させて lächle となります。これは発音の際の口調を滑らかにするためです。




2.3 口調を滑らかにする -e- の追加
動詞の語幹が -t, -d, -chn で終わるものや、一部の語幹(-bn, -ckn, -dm, -dn, -ffn, -gn, -tm)で終わる動詞は発音の際に口調を滑らかにするため、主語が二人称単数 du 三人称単数 er / sie / es 二人称複数 ihr の時、語幹と語尾の間に -e- を加えて変化させます。






つづり字 s の吸収
動詞の語幹が -s, -ss, -ß, -tz, -z, -x で終わる場合、主語が二人称単数 du の時、語尾は -st ではなく -t となります。







