ポイント
ドイツ語では、話法の助動詞 を使うと、
- できる
- しなければならない
- してよい
- したい
- 〜かもしれない
- 〜だそうだ
のような意味を加えることができます。
- Andreas spielt Tennis.
アンドレアスはテニスをします。 - Andreas kann Tennis spielen.
アンドレアスはテニスができます。 - Andreas kann jetzt schon in Paris sein.
アンドレアスは今ごろもうパリにいるかもしれません。
また、werden は「未来」を表すだけではありません。
実際のドイツ語では、
- 未来
- 推測
- 意志
- 命令めいた言い方
などにも使われます。
1. まず大事なこと:助動詞は文を両側からはさむ
話法の助動詞を学ぶときに、最初に絶対に意識したいのは
意味 より 語順 です。
主文の基本形
助動詞が第2位
本動詞は不定詞で文末
- Herr Schmidt muss auch samstags ins Büro gehen.
シュミットさんは土曜日も会社へ行かなければなりません。 - Ich kann heute nicht kommen.
私は今日は来ることができません。 - Wir wollen morgen nach Berlin fahren.
私たちは明日ベルリンへ行くつもりです。
視覚的に見ると
- Ich muss heute lange arbeiten.
- Heute muss ich lange arbeiten.
- Wahrscheinlich muss ich heute lange arbeiten.
どれも muss が第2位で、
本動詞 arbeiten が最後です。
つまり、助動詞と本動詞は
前と後ろで文をサンドイッチする
ように働きます。
これがドイツ語の大事な 枠構造(Satzklammer) です。
2. 話法の助動詞は「普通の動詞」と変化のしかたが違う
ここが初心者がとても混乱しやすいところです。
普通の動詞なら、
- ich lerne
- du lernst
- er lernt
のように、ich に -e、er に -t がつきます。
でも話法の助動詞では、単数形で特別なことが起こります。
大切な特徴
- ich と er / sie / es が同じ形になりやすい
- 単数では 語尾が消えたり、母音が変わったり する
- 複数は比較的ふつう
現在人称変化
| 不定詞 | ich | du | er / sie / es | wir | ihr | sie / Sie |
|---|---|---|---|---|---|---|
| können | kann | kannst | kann | können | könnt | können |
| müssen | muss | musst | muss | müssen | müsst | müssen |
| wollen | will | willst | will | wollen | wollt | wollen |
| sollen | soll | sollst | soll | sollen | sollt | sollen |
| dürfen | darf | darfst | darf | dürfen | dürft | dürfen |
| mögen | mag | magst | mag | mögen | mögt | mögen |
ここを特に意識しよう
普通の動詞
- ich lerne
- er lernt
助動詞
- ich kann
- er kann
この 「ich と er が同じ」 という形は、
普通の動詞に慣れているほど違和感があります。
でもこれは 間違いではなく、話法の助動詞の特徴 です。
3. よく使う助動詞の意味
3-1. können
1. 能力
「〜できる」
- Frau Schneider kann Japanisch sprechen.
シュナイダー夫人は日本語を話すことができます。 - Opa kann ohne Brille nicht lesen.
おじいちゃんは眼鏡がないと字が読めません。
2. 可能性・推測
「〜かもしれない」
- Andreas kann jetzt schon in Paris sein.
アンドレアスは今ごろもうパリにいるかもしれません。 - Das kann wahr sein.
それは本当かもしれません。
ニュアンス
können は、
「そういう可能性はある」という感じです。
3-2. dürfen
1. 許可
「〜してよい」
- Darf ich rauchen?
たばこを吸ってもよいですか。 - Darf ich das Fenster öffnen?
窓を開けてもよいですか。
2. 禁止
nicht といっしょに
「〜してはいけない」
- Hier darf man nicht parken.
ここでは駐車してはいけません。 - In diesem Restaurant darf man nicht rauchen.
このレストランではたばこを吸ってはいけません。
3-3. mögen / möchte
mögen
1. 好み
「〜が好きだ」
- Katharina mag nicht mit dem Flugzeug fliegen.
カタリーナは飛行機に乗るのが好きではありません。 - Magst du heute Abend tanzen gehen?
今晩、踊りに行く気はありますか。
2. 推測
「〜だろう」
- Die Frau mag etwa 30 Jahre alt sein.
あの女性は30歳くらいだろう。
ニュアンス
- kann = そうかもしれない
- mag = わりとそうだろう
mag のほうが、少し判断が強めです。
möchte
これは初級では、まず
「〜したいです」という便利な形 として覚えるのが実用的です。
- Ich möchte gerne einmal Berlin sehen.
一度ベルリンを見てみたいです。 - Ich möchte mir schnell die Hände waschen.
ちょっと手を洗いたいです。
補足
möchte は実は mögen の接続法II式 です。
初級では「丁寧な希望の形」として使えれば十分ですが、
後で接続法を学ぶと、ここで知識がつながります。
3-4. wollen
1. 意志
「〜するつもりだ」
- Wir wollen heute ins Theater gehen.
私たちは今日、劇場へ行くつもりです。 - Andreas will unbedingt Katharina heiraten.
アンドレアスはどうしてもカタリーナと結婚するつもりです。
2. 主張
「〜だと言っている」
- Der Mann will Arzt sein.
その男は自分は医者だと言っています。 - Er will Deutschlehrer sein.
彼は自分はドイツ語教師だと言っています。
ニュアンス
この wollen には、
話し手の側に「本当かな」という距離感が入ることがあります。
3-5. müssen
1. 必要・義務
「〜しなければならない」
- Ich muss langsam gehen.
私はそろそろ行かなければなりません。 - Alle Menschen müssen sterben.
人はみな死ななければなりません。
2. nicht müssen
「必ずしも〜しなくてよい」
- Morgen müssen Sie nicht kommen.
明日は来なくてもかまいません。
ここは大事です。
- nicht müssen = しなくてもよい
- nicht dürfen = してはいけない
この2つはまったく違います。
3. 強い推測
「〜に違いない」
- Er hat die Prüfung bestanden? Das muss ein Irrtum sein.
彼が試験に合格したって? それは何かのまちがいに違いありません。 - Der Mann muss das getan haben.
あの男がそれをやったに違いありません。
3-6. sollen
1. 他人からの指示・要求
「〜するように言われている」
「〜すべきだ」
- Auch die Fußgänger sollen die Verkehrsregeln beachten.
歩行者も交通規則を守るべきです。 - Ich soll Ihnen diesen Brief übergeben.
あなたにこの手紙をお渡しするように言われています。
2. 伝聞・うわさ
「〜だそうだ」
「〜という話だ」
- Er soll sechs Fremdsprachen sprechen.
彼は6つの外国語を話すそうです。 - In Finnland soll es im Winter sehr kalt sein.
フィンランドでは冬はとても寒いそうです。
覚え方
sollen が出たら、
主語以外の誰かの意志・情報が入っている
と考えると分かりやすいです。
4. 本動詞が省略されることがある
文脈から分かるときは、本動詞を言わないことがあります。
- Frau Schneider kann Japanisch sprechen.
→ Frau Schneider kann Japanisch.
シュナイダー夫人は日本語ができます。 - Das kann ich nicht tun.
→ Das kann ich nicht.
私はそんなことはできません。 - Ich mag keinen Käse essen.
→ Ich mag keinen Käse.
私はチーズが好きではありません。
5. 副文ではどうなるか
副文では、定動詞後置のルールが働くので、
助動詞は文末に行きます。
- Wissen Sie, dass Herr Schmidt auch samstags ins Büro gehen muss?
シュミットさんが土曜日も会社へ行かなければならないことを、あなたは知っていますか。 - Ich glaube, dass er heute nicht kommen kann.
彼は今日は来られないのではないかと思います。
ここでも枠構造を見る
主文
- Er muss heute nach Hause gehen.
副文
- …, dass er heute nach Hause gehen muss.
主文では
助動詞が前、本動詞が後ろ。
副文では
全部最後に押し込まれる 感じになります。
6. 過去ではどう言うか
話法の助動詞の過去は、
助動詞の過去形 + 本動詞の不定詞
です。
- Ich kann keine Eintrittskarte kriegen.
→ Ich konnte keine Eintrittskarte kriegen.
私は入場券を手に入れることができませんでした。 - Ich muss heute ins Büro.
→ Ich musste heute ins Büro.
私は今日会社へ行かなければなりませんでした。 - Ich will gerade ausgehen.
→ Ich wollte gerade ausgehen.
私はちょうど出かけようとしていました。
実戦でとても大事なこと
会話では、過去のことでも
- sein
- haben
- werden
- 助動詞
は、過去形で言うことが非常に多い です。
つまり、会話では
- Ich musste gehen.
- Ich konnte nicht kommen.
- Ich wollte dir helfen.
のような形がとても自然です。
7. 助動詞の完了形
ここは中級でつまずきやすいところです。
でも、最初から「こういう形がある」と知っておくと混乱しにくくなります。
7-1. 助動詞が本動詞として使われるとき
この場合は普通の完了形です。
- Frau Schneider kann Japanisch.
→ Frau Schneider hat Japanisch gekonnt.
シュナイダー夫人は日本語ができました。 - Ich muss nach Hause.
→ Ich habe nach Hause gemusst.
私は家へ帰らなければなりませんでした。
ただしこの形は少しかたく、
会話では普通 konnte / musste のほうがよく使われます。
7-2. 助動詞が助動詞として使われるとき
ここが有名な 二重不定詞 です。
- Frau Schneider kann Japanisch sprechen.
→ Frau Schneider hat Japanisch sprechen können.
シュナイダー夫人は日本語を話すことができました。 - Ich muss nach Hause gehen.
→ Ich habe nach Hause gehen müssen.
私は家へ帰らなければなりませんでした。
ここでの注意
普通なら完了形は
haben + 過去分詞
ですが、助動詞がからむと
haben + 本動詞の不定詞 + 助動詞の不定詞
になります。
これを知らないまま進むと、
「完了形のルールが壊れた」と感じます。
でも壊れたのではなく、助動詞だけ特別な形をとる のです。
8. 過去についての推測
過去のことを、今の立場から推測するときは
助動詞 + 過去分詞 + sein / haben
を使います。
- Er muss am Tatort gewesen sein.
彼は犯行現場にいたに違いありません。 - Er kann am Tatort gewesen sein.
彼は犯行現場にいたのかもしれません。 - Er mag am Tatort gewesen sein.
彼は犯行現場にいたのでしょう。 - Er will am Tatort gewesen sein.
彼は犯行現場にいたと言っています。 - Er soll am Tatort gewesen sein.
彼は犯行現場にいたという話です。
例文
- Andreas war gestern still. Er kann krank gewesen sein.
アンドレアスは昨日元気がありませんでした。具合が悪かったのかもしれません。 - Sie soll in Deutschland studiert haben.
彼女はドイツで勉強したという話です。 - Er will die Prüfung bestanden haben.
彼はその試験に合格したと言っています。
9. 未来の助動詞 werden
9-1. 形
未来形は
werden + 不定詞
で作ります。
- Andreas wird morgen zu uns kommen.
アンドレアスは明日、私たちのところへ来るでしょう。
9-2. でも、未来は現在形でもよく言う
ここはとても大切です。
ドイツ語では、確定した未来 は
現在形 + 時を表す語 で言うことがとても多いです。
- Andreas kommt morgen zu uns.
アンドレアスは明日、私たちのところへ来ます。 - Ich arbeite morgen nicht.
私は明日働きません。 - Wir fahren nächste Woche nach Berlin.
私たちは来週ベルリンへ行きます。
では werden はいつ使うのか
werden + 不定詞 は、ただ未来を言うだけではなく、
- 推測
- 含み
- 意志
- 約束
- 命令めいた言い方
を帯びやすいです。
比較
現在形
- Andreas kommt morgen zu uns.
アンドレアスは明日、私たちのところへ来ます。
→ 予定としてかなり固い
werden
- Andreas wird morgen zu uns kommen.
アンドレアスは明日、私たちのところへ来るでしょう。
→ 推測・見込み・含みが入る
9-3. werden の用法
1人称
決意・予定・約束
- So einen Fehler werde ich nie wieder begehen.
こんなまちがいはもう二度としないつもりです。 - Morgen werde ich dir dein Geld zurückbringen.
明日、あなたにお金を返しに行きます。
2人称
推測・指示・命令っぽい言い方
- Sie werden es einmal bereuen.
あなたはいつかそれを後悔するでしょう。 - Ihr werdet jetzt ins Bett gehen, Kinder!
みんな、もう寝なさい。 - So was wirst du nie wieder tun!
そんなことはもう二度としてはいけません。
3人称
推測
- Er wird die neue Stelle annehmen.
彼はその新しい仕事を引き受けるでしょう。 - Er wird wahrscheinlich zur Besprechung kommen.
彼はたぶん話し合いに来るでしょう。
10. 未来完了
未来完了は
werden + 過去分詞 + haben / sein
です。
用法
1. 未来のある時点までに終わっているだろう
- Bis zum Wochenende wird er seine Arbeit geschafft haben.
週末までには、彼は仕事を終えているでしょう。 - Bis übermorgen werde ich sicher das Buch gelesen haben.
明後日までには、私はきっとその本を読み終えているでしょう。
2. 過去についての推測
- Sie wird sicher nicht ohne Absicht gekommen sein.
彼女はきっと何か考えがあって来たのでしょう。 - Andreas wird wohl krank gewesen sein.
アンドレアスはたぶん具合が悪かったのでしょう。
11. 副文の中での完了と二重不定詞
副文では定動詞が文末に行くので、
完了の助動詞も最後に来ます。
- Wissen Sie, dass Frau Schneider Japanisch gekonnt hat?
シュナイダー夫人が日本語ができたということを、あなたは知っていますか。
二重不定詞では、haben がその前に置かれます。
- Wissen Sie, dass Frau Schneider Japanisch hat sprechen können?
シュナイダー夫人が日本語を話すことができたということを、あなたは知っていますか。
まとめ
この課では、話法の助動詞 と 未来の助動詞 werden を学びました。
話法の助動詞
- können:できる、かもしれない
- dürfen:してよい、してはいけない
- mögen:好きだ、だろう
- möchte:したい
- wollen:つもりだ、〜だと言っている
- müssen:しなければならない、に違いない
- sollen:すべきだ、〜だそうだ
基本の語順
主文
- 助動詞が第2位
- 本動詞は不定詞で文末
例:
- Ich kann heute nicht kommen.
副文
- 助動詞が文末
例:
- …, dass ich heute nicht kommen kann.
大切なポイント
- 話法の助動詞では、ich と er / sie / es が同じ形 になりやすい
- 文は 助動詞と本動詞で両側からはさまれる
- 会話では、過去の助動詞は 過去形 がとてもよく使われる
例:konnte, musste, wollte - 助動詞の完了では 二重不定詞 が出てくる
例:hat gehen müssen - möchte は「丁寧な希望」の形として非常によく使う
- ドイツ語では、確定した未来は現在形で言うことが多い
- werden は未来だけでなく、推測や含み を表すことが多い
まず覚えたい形
- ich kann / du kannst / er kann
- ich muss / du musst / er muss
- ich will / du willst / er will
- ich darf / du darfst / er darf
- ich möchte / du möchtest / er möchte
- ich werde / du wirst / er wird
まず使える文
- Ich kann Deutsch sprechen.
- Du musst jetzt gehen.
- Er will Arzt werden.
- Darf ich hereinkommen?
- Ich möchte einen Kaffee.
- Morgen komme ich zu dir.
- Morgen werde ich wohl keine Zeit haben.