動詞の現在人称変化(規則変化)

ポイント

ドイツ語学習の最初の大きな壁が、動詞の人称変化 です。
主語が変わると、動詞の形も変わります。

  • Ich lerne Deutsch.
    私はドイツ語を学びます。
  • Du lernst Deutsch.
    君はドイツ語を学びます。
  • Andreas lernt Deutsch.
    アンドレアスはドイツ語を学びます。
  • Wir lernen Deutsch.
    私たちはドイツ語を学びます。

英語でも I play / he plays のように少し形が変わりますが、
ドイツ語ではそれよりも多くの形に変化します。

ただし、やみくもに表を暗記する必要はありません。
大事なのは、「語幹 + 語尾」 という仕組みを理解することです。


1. まずは主語を確認しよう:人称代名詞

1-1. 人称の考え方

  • 1人称:話している人
  • 2人称:話しかける相手
  • 3人称:話している人でも、相手でもない人や物

1-2. ドイツ語の人称代名詞

人称単数複数
1人称ich(私)wir(私たち)
2人称du(君、あなた)ihr(君たち、あなたたち)
3人称er(彼) / sie(彼女) / es(それ)sie(彼ら、彼女ら、それら)

ていねいな言い方として、Sie もあります。

  • Sie:あなた
  • Sie:あなたがた

1-3. du / ihr と Sie のちがい

ドイツ語には、2人称に

  • 親しい言い方
  • ていねいな言い方

があります。

du / ihr

du / ihr は、親しい相手に使います。

  • 家族
  • 友達
  • 子ども
  • 親しい同僚

Sie

Sie は、ていねいな言い方です。

  • あまり親しくない相手
  • 仕事上の相手
  • 店員さんや先生
  • 初対面の大人

例文

  • Wie heißt du?
    君の名前は何ですか。
  • Wie heißen Sie?
    お名前は何ですか。

1-4. 3つの sie / Sie に注意

ドイツ語には、形がよく似た sie / Sie が3つあります。

  • sie = 彼女
  • sie = 彼ら・彼女ら・それら
  • Sie = あなた、あなたがた(敬称)

見分けるポイントは、動詞の形文の流れ です。

例文

  • Sie lernt Deutsch.
    彼女はドイツ語を学びます。
  • Sie lernen Deutsch.
    あなたはドイツ語を学びます。
    あなたがたはドイツ語を学びます。
    彼らはドイツ語を学びます。

ポイント

敬称の Sie は、文の途中でも必ず大文字 です。
一方、ich は英語の I と違って、文の途中では小文字です。

  • Andreas und ich lernen Deutsch.
    アンドレアスと私はドイツ語を学びます。

1-5. 3人称は人だけでなく物にも使う

ドイツ語の er / sie / es は、人だけでなく、動物や物にも使います。
これは、ドイツ語の名詞に文法上の性があるからです。

例文

  • Der Tisch ist alt. Er ist groß.
    その机は古いです。それは大きいです。
  • Die Tasche ist neu. Sie ist schön.
    そのかばんは新しいです。それはきれいです。
  • Das Buch ist neu. Es ist teuer.
    その本は新しいです。それは高いです。

2. 基本ルール:語幹 + 語尾

多くのドイツ語の動詞は、辞書では -en で終わります。

  • lernen
  • machen
  • kommen

この -en を外した部分が、語幹 です。

  • lernen → lern-
  • machen → mach-
  • kommen → komm-

そして、主語に応じて語尾をつけます。
つまり、基本の考え方はとてもシンプルです。

語幹(骨組み) + 語尾(主語に合わせた変化)


3. まず覚えるべき基本語尾

3-1. -en 動詞の基本語尾

規則変化動詞では、まずこの語尾を覚えます。

主語語尾lernen
ich-eich lerne
du-stdu lernst
er / sie / es-ter lernt
wir-enwir lernen
ihr-tihr lernt
sie / Sie-ensie lernen

3-2. 覚え方のコツ

全部を別々に覚えるより、こう考えると楽です。

実はそのままの形が2つある

  • wir は不定詞と同じ
  • sie / Sie も不定詞と同じ

つまり、まず意識すべきなのは主にこの4つです。

  • ich -e
  • du -st
  • er / sie / es -t
  • ihr -t

3-3. lernen の変化

主語意味
ichlerne私は学ぶ
dulernst君は学ぶ
er / sie / eslernt彼 / 彼女 / それは学ぶ
wirlernen私たちは学ぶ
ihrlernt君たちは学ぶ
sie / Sielernen彼らは学ぶ / あなたは学ぶ

例文

  • Ich lerne Deutsch.
    私はドイツ語を学びます。
  • Du lernst schnell.
    君は速く学びます。
  • Andreas lernt heute.
    アンドレアスは今日勉強します。
  • Wir lernen zusammen.
    私たちはいっしょに学びます。
  • Katharina lernt Deutsch.
    カタリーナはドイツ語を学びます。

4. このグループの基本動詞

次のような動詞は、同じように変化します。

  • lernen:学ぶ
  • spielen:遊ぶ、演奏する
  • kochen:料理する
  • trinken:飲む
  • kommen:来る
  • schwimmen:泳ぐ

5. 発音を守るための「2つの微調整」

ここが大事です。
これらは「例外」というより、発音しやすくするための調整 です。


5-1. 語幹が -d / -t などで終わるとき:-e- が入る

語幹の最後が -d-t などだと、そのまま語尾をつけると発音しにくくなります。
そこで、-e- を入れて発音しやすくします。

例:arbeiten(働く)

主語
icharbeite
duarbeitest
er / sie / esarbeitet
wirarbeiten
ihrarbeitet
sie / Siearbeiten

例文

  • Du arbeitest viel.
    君はたくさん働きます。
  • Andreas arbeitet heute.
    アンドレアスは今日働きます。

5-2. このタイプの動詞

  • arbeiten:働く
  • antworten:答える
  • reden:話す
  • zeichnen:描く
  • rechnen:計算する
  • öffnen:開ける

※ 厳密には -d / -t 以外にも、発音上 -e- が入る語幹があります。


5-3. 語幹が s 音で終わるとき:du の -s- が消える

語幹がすでに s 音 を持っていると、du の語尾 -sts をそのまま重ねると発音しにくくなります。
そこで、du では -t のような形になる と考えると分かりやすいです。

対象になりやすい語尾

  • -s
  • -ss
  • -tz
  • -z
  • -x

  • reisen → du reist
  • küssen → du küsst
  • grüßen → du grüßt
  • sitzen → du sitzt
  • heißen → du heißt
  • tanzen → du tanzt
  • putzen → du putzt

例文

  • Du reist nach Berlin.
    君はベルリンへ行きます。
  • Du sitzt hier.
    君はここに座ります。
  • Wie heißt du?
    君の名前は何ですか。
  • Du putzt dein Zimmer.
    君は自分の部屋をそうじします。

6. -n で終わる動詞

一部の動詞は、不定詞が -n で終わります。

  • tun:する
  • lächeln:ほほえむ
  • klingeln:ベルが鳴る
  • sammeln:集める
  • wechseln:変える

このタイプでは、wir / sie / Sie-n の形になります。


6-1. tun の変化

主語
ichtue
dutust
er / sie / estut
wirtun
ihrtut
sie / Sietun

例文

  • Ich tue viel.
    私はたくさんのことをします。
  • Was tust du?
    君は何をしますか。
  • Andreas tut viel.
    アンドレアスはたくさんのことをします。

6-2. lächeln のような動詞

lächeln のように、語幹が -l で終わる動詞では、
ich の形で e が落ちることがあります。

  • ich lächle

これは、発音しやすくするためです。

例文

  • Ich lächle.
    私はほほえみます。
  • Katharina lächelt.
    カタリーナはほほえみます。

7. 現在形は「〜する」と「〜している」の両方に使える

ドイツ語の現在形は、英語のように進行形を別に作りません。
そのため、同じ形で次の2つを表せます。

7-1. 習慣・事実

  • Ich lerne Deutsch.
    私はドイツ語を勉強します。

7-2. 今していること

  • Ich lerne Deutsch.
    私は今ドイツ語を勉強しています。

必要なら、

  • jetzt
  • gerade
  • eben

などを入れて、今のことだとはっきり示します。

例文

  • Ich lerne gerade Deutsch.
    私は今ちょうどドイツ語を勉強しています。

ポイント

英語に引っぱられて

  • ❌ Ich bin lerne …

のようには言いません。


8. 練習してみよう

次の動詞を、上のルールに当てはめて変化させてみましょう。

8-1. machen(する、作る)

主語
ichmache
dumachst
er / sie / esmacht
wirmachen
ihrmacht
sie / Siemachen

8-2. warten(待つ)

主語
ichwarte
duwartest
er / sie / eswartet
wirwarten
ihrwartet
sie / Siewarten

8-3. tanzen(踊る)

主語
ichtanze
dutanzt
er / sie / estanzt
wirtanzen
ihrtanzt
sie / Sietanzen

9. よくあるつまずきポイント

9-1. du と er / sie / es を混同しやすい

とても多いミスです。

  • du lernst
  • er lernt

du は -ster / sie / es は -t です。


9-2. wir と sie / Sie はほぼそのまま

この2つは、不定詞と同じ形になることが多いです。

  • wir lernen
  • sie lernen
  • Sie lernen

9-3. 「例外」ではなく「発音の調整」と考える

  • arbeitet
  • heißt

のような形は、バラバラの例外として覚えるより、

  • 発音しやすくするために -e- が入る
  • s 音が重なるので -s- が消える

と考えると、覚えやすくなります。


10. まとめ

ドイツ語では、主語によって動詞の形が変わります。
規則変化動詞では、基本的に

語幹はそのまま + 語尾が変わる

というしくみです。

まず覚える基本語尾

主語語尾
ich-e
du-st
er / sie / es-t
wir-en
ihr-t
sie / Sie-en

ただし注意する点

  • -n で終わる動詞がある
  • 発音しやすくするために -e- が入ることがある
  • du-st ではなく -t のような形になる動詞がある

最初の目標

まずは lernen の変化を、すらすら言えるようにしましょう。

  • ich lerne
  • du lernst
  • er lernt
  • wir lernen
  • ihr lernt
  • sie lernen