ポイント
ドイツ語には、前つづり のついた動詞がたくさんあります。
このような動詞を 複合動詞 といいます。
その中には、
- 文の中で前つづりが分かれる動詞
- 前つづりが分かれない動詞
があります。
- Er steht jeden Morgen um fünf Uhr auf.
彼は毎朝5時に起きます。 - Kolumbus entdeckte Amerika.
コロンブスはアメリカを発見しました。
最初の文の aufstehen は、auf が分かれて文末に行っています。
このような動詞を 分離動詞 といいます。
一方、entdecken の ent- は分かれません。
このような動詞を 非分離動詞 といいます。
この課で大切なのは、ただ形を覚えることではありません。
特に次の4点が重要です。
- 分離するかどうかは、アクセントと深く関係する
- 分離動詞は、文の最初と最後で文をはさむ 枠構造 を作る
- 分離動詞の中には、動詞本体も不規則変化するもの が多い
- 完了形や zu 不定詞では、ge- や zu が途中に入る
1. 動詞の前つづり
ドイツ語では、もとの動詞に前つづりがついて、意味が変わることがよくあります。
例
- stehen → aufstehen
立つ → 起きる - decken → entdecken
おおう → 発見する
このように、前つづりがつくことで、もとの動詞とは少しちがう意味になります。
1-1. 分離するかどうかの基本感覚
ここを最初に押さえると、暗記の負担がかなり減ります。
分離動詞
→ 前つづりにアクセント がある
→ 強く読まれるので、文の中で「飛んで」分かれやすい
非分離動詞
→ 前つづりにアクセントがない
→ 動詞本体と強く結びついていて、分かれない
イメージ
- AUFstehen
→ 前の auf が強い
→ 分かれやすい - entDECKen
→ 強いのは後ろ
→ 分かれない
つまり、
強く読む前つづりは飛んでいきやすい
と考えると分かりやすいです。
2. 分離動詞
2-1. 分離動詞とは
分離前つづりのある動詞を 分離動詞 といいます。
分離動詞では、アクセントは前つづりにあります。
分離前つづりの多くは、もともと
- 前置詞
- 副詞
- 形容詞
- 名詞
- 動詞
などとしても使われる語です。
よくある分離前つづり
- an-
- auf-
- aus-
- ein-
- mit-
- nach-
- vor-
- zu-
- zurück-
2-2. 現在形では前つづりが分かれる
平叙文では、分離前つづりは文の最後に行きます。
例文
- Der Zug kommt um 12 Uhr in München an.
その列車は12時にミュンヘンに到着します。 - Er steht jeden Morgen um fünf Uhr auf.
彼は毎朝5時に起きます。 - Ich kaufe heute Brot ein.
私は今日パンを買います。
2-3. 枠構造を意識しよう
分離動詞の最大の特徴は、枠構造 です。
例
- Ich kaufe heute Brot ein.
ここでは、
- kaufe が左の枠
- ein が右の枠
になっています。
つまり、
動詞の本体が前、前つづりが後ろに飛んで、文全体をはさむ
という形です。
この感覚を持つと、長い文でも読みやすくなります。
例
- Ich stehe morgen wegen der Reise sehr früh auf.
私は明日、旅行のためにとても早く起きます。
真ん中に長い要素が入っても、
stehe … auf で1つの動詞だと分かることが大切です。
2-4. 疑問文でも分離する
補足疑問文
- Um wieviel Uhr kommt der Zug an?
その列車は何時に到着しますか。
決定疑問文
- Kommt der Zug pünktlich um 12 Uhr an?
その列車は12時に時間どおり到着しますか。
2-5. 副文では分離しない
副文では定動詞が文末に行くので、
分離動詞はまとめて文末に置かれます。
例文
- Der Zug kommt pünktlich in Köln an.
その列車は時間どおりケルンに到着します。 - Ich weiß nicht, ob der Zug pünktlich in Köln ankommt.
その列車が時間どおりケルンに到着するかどうか、私は知りません。 - Wissen Sie, um wieviel Uhr der Zug in Köln ankommt?
その列車が何時にケルンに到着するか、あなたは知っていますか。
ポイント
- 主文 → kommt … an
- 副文 → ankommt
という違いです。
2-6. 助動詞や未来形では不定詞で文末
分離動詞が助動詞や werden といっしょに使われるときは、
不定詞の形で文末に置かれます。
例文
- Der Zug kann nicht pünktlich in Köln ankommen.
その列車は時間どおりにはケルンに到着できないかもしれません。 - Der Zug wird wohl pünktlich in Köln ankommen.
その列車はおそらく時間どおりケルンに到着するでしょう。
2-7. よく使う分離動詞
例文
- Er steigt in München aus.
彼はミュンヘンで降ります。 - Wir steigen in Bremen ein.
私たちはブレーメンで乗ります。 - Ich steige in Bremen um.
私はブレーメンで乗り換えます。 - Um wieviel Uhr fährt der Zug nach Wien ab?
その列車は何時にウィーンへ向けて出発しますか。 - Hast du heute Abend etwas vor?
あなたは今晩、何か予定がありますか。 - Nimmst du an der Versammlung teil?
あなたはその会議に参加しますか。 - Fahren Sie mit dem Auto zurück?
あなたは車で戻りますか。
2-8. 分離動詞の例文
- Der Student spricht das Wort falsch aus.
その大学生はその単語をまちがって発音します。 - Er hängt das Bild von der Wand ab.
彼はその絵を壁から外します。 - Der Lehrer breitet eine Landkarte aus.
先生は地図を広げます。 - Sie tritt in mein Zimmer ein.
彼女は私の部屋に入ってきます。 - Nehmen Sie diese Ware mit?
この商品をお持ち帰りになりますか。 - Gehen Sie auf diesem Weg noch weiter ?
あなたはこの道をまだ先へ進みますか。
※自然な形なら
Gehen Sie auf diesem Weg noch weiter? でよいです。
これは weitergehen ではなく、ここでは weiter gehen と考えるのが自然です。
3. 非分離動詞
3-1. 非分離動詞とは
前つづりが分かれない動詞を 非分離動詞 といいます。
非分離動詞では、前つづりにアクセントはありません。
主な非分離前つづり
- be-
- emp-
- ent-
- er-
- ge-
- ver-
- zer-
これらは初級では、非分離が基本 と覚えると便利です。
3-2. 非分離動詞の例
平叙文
- Ich besuche heute meinen Onkel im Krankenhaus.
私は今日、叔父を病院に見舞います。
決定疑問文
- Besuchst du heute deinen Onkel im Krankenhaus?
あなたは今日、叔父さんを病院に見舞いますか。
補足疑問文
- Wen besucht er heute im Krankenhaus?
彼は今日、病院で誰を見舞いますか。
ポイント
besuchen は、現在形でも疑問文でも分かれません。
- ⭕ Ich besuche ihn.
- ❌ Ich suche ihn be.
3-3. よく使う非分離動詞
例文
- Er besitzt viele Bücher.
彼はたくさんの本を持っています。 - Ich bedauere meine Äußerung.
私は自分の発言を残念に思います。 - Er empfiehlt mir dieses Buch.
彼は私にこの本をすすめます。 - Frisches Obst enthält viele Vitamine.
新鮮な果物にはたくさんのビタミンが含まれています。 - Die Mutter erzählt den Kindern ein Märchen.
母親は子どもたちにおとぎ話をして聞かせます。 - Verstehst du mich?
あなたは私の言うことが分かりますか。
4. 分離動詞と不規則変化の二重の注意
ここはとても大事です。
分離動詞は、前つづりが分かれるだけではありません。
動詞本体が不規則変化するものも多い です。
例
- aussehen
→ du siehst … aus
→ er sieht … aus - mitfahren
→ du fährst … mit
→ er fährt … mit - einsteigen
→ du steigst … ein
→ er steigt … ein
つまり、分離動詞では
- 本体の人称変化
- 前つづりの分離
の二つを同時に見る必要があることがあります。
例文
- Du siehst heute müde aus.
あなたは今日、疲れて見えます。 - Er fährt morgen mit uns mit.
彼は明日、私たちといっしょに行きます。 - Sie steigt in Köln ein.
彼女はケルンで乗ります。
5. 分離動詞と非分離動詞の三基本形
5-1. 分離動詞の三基本形
分離動詞では、
- 過去形では前つづりが分かれる
- 過去分詞では前つづりが動詞の前につく
- 完了形では ge- が前つづりと語幹の間に入る
- zu 不定詞では zu が前つづりと動詞の間に入る
という点が大切です。
例
- aufmachen – machte … auf – aufgemacht
- vorlegen – legte … vor – vorgelegt
- zufügen – fügte … zu – zugefügt
- ankommen – kam … an – angekommen
- einsteigen – stieg … ein – eingestiegen
- teilnehmen – nahm … teil – teilgenommen
5-2. 完了形でのポイント
分離動詞では、過去分詞は
前つづり + ge + 語幹
の形になることが多いです。
例
- aufstehen → aufgestanden
- einkaufen → eingekauft
- mitbringen → mitgebracht
比較
- 分離動詞
aufstehen → aufgestanden - 非分離動詞
verstehen → verstanden
ここは必ず比べて覚えましょう。
5-3. zu 不定詞
zu 不定詞では、前つづりと動詞の間に zu が入ります。
例
- aufzumachen
- anzukommen
- teilzunehmen
例文
- Es ist schwer, früh aufzustehen.
早起きするのは大変です。 - Er hofft, pünktlich anzukommen.
彼は時間どおりに到着することを願っています。 - Ich habe vor, an der Sitzung teilzunehmen.
私はその会議に参加するつもりです。
5-4. 非分離動詞の三基本形
非分離動詞では、前つづりはいつもそのままです。
また、過去分詞に ge- がつきません。
例
- entdecken – entdeckte – entdeckt
- gefallen – gefiel – gefallen
- verbringen – verbrachte – verbracht
- verstehen – verstand – verstanden
- besuchen – besuchte – besucht
6. 過去形と完了形
6-1. 分離動詞の例
現在形
- Der Zug kommt pünktlich in Berlin an.
その列車は時間どおりベルリンに到着します。
過去形
- Der Zug kam pünktlich in Berlin an.
その列車は時間どおりベルリンに到着しました。
現在完了形
- Der Zug ist pünktlich in Berlin angekommen.
その列車は時間どおりベルリンに到着しました。
6-2. 非分離動詞の例
現在形
- Er verbringt den Urlaub am Meer.
彼は海辺で休暇を過ごします。
過去形
- Er verbrachte den Urlaub am Meer.
彼は海辺で休暇を過ごしました。
現在完了形
- Er hat den Urlaub am Meer verbracht.
彼は海辺で休暇を過ごしました。
6-3. 例文
- Im Jahr 1914 brach der Erste Weltkrieg aus.
1914年に第一次世界大戦が勃発しました。 - Röntgen entdeckte die X-Strahlen.
レントゲンはX線を発見しました。 - Die Regierung kündigte das neue Schulsystem an.
政府は新しい学校制度を発表しました。 - Im Jahre 1944 zogen die Alliierten in Paris ein.
1944年に連合軍はパリに入りました。
6-4. 現在形から現在完了形へ
- Um wieviel Uhr kommt der Zug in München an?
その列車は何時にミュンヘンに到着しますか。
→ Um wieviel Uhr ist der Zug in München angekommen?
その列車は何時にミュンヘンに到着しましたか。 - Sie fährt heute um 12 Uhr mit dem Zug ab.
彼女は今日12時に列車で出発します。
→ Sie ist heute um 12 Uhr mit dem Zug abgefahren.
彼女は今日12時に列車で出発しました。 - Er gibt das Rauchen auf.
彼はたばこをやめます。
→ Er hat das Rauchen aufgegeben.
彼はたばこをやめました。 - Er bringt seiner Frau Blumen mit.
彼は妻に花を持って行きます。
→ Er hat seiner Frau Blumen mitgebracht.
彼は妻に花を持って行きました。 - Wann ziehen Herr und Frau Müller nach München um?
ミュラー夫妻はいつミュンヘンへ引っ越しますか。
→ Wann sind Herr und Frau Müller nach München umgezogen?
ミュラー夫妻はいつミュンヘンへ引っ越しましたか。 - Er wiederholt seine Frage.
彼は質問をくり返します。
→ Er hat seine Frage wiederholt.
彼は質問をくり返しました。 - Mir gefällt das Bild nicht.
私はその絵が気に入りません。
→ Mir hat das Bild nicht gefallen.
私はその絵が気に入りませんでした。
7. 分離にも非分離にもなる動詞
ここは少し難しいですが、存在だけは知っておくと役立ちます。
中には、意味によって
分離したり、分離しなかったりする動詞 があります。
ポイント
分離する場合
- 前つづりにアクセントがある
- もとの前置詞や副詞の意味がはっきり残ることが多い
非分離の場合
- 前つづりにアクセントがない
- 意味が少し抽象的・派生的になることが多い
7-1. übersetzen
分離動詞
- Der Fährmann setzt den Wanderer ans andere Ufer über.
渡し守は旅人を向こう岸へ渡します。
非分離動詞
- Er übersetzt das Buch aus dem Deutschen ins Japanische.
彼はその本をドイツ語から日本語に翻訳します。
7-2. wiederholen
分離動詞
- Er holt sich den Titel wieder.
彼はそのタイトルを再び取り戻します。
非分離動詞
- Ich wiederhole meine Frage.
私は質問をもう一度くり返します。
7-3. さらに注意したい前つづり
中級以降では、次の前つづりでも
分離・非分離の両方が出てきます。
- durch-
- um-
- über-
- unter-
- wider-
- wieder-
最初は全部を覚えなくて大丈夫ですが、
同じつづりでも、アクセントと意味で分離・非分離が変わることがある
ということは知っておきましょう。
まとめ
この課では、分離動詞 と 非分離動詞 を学びました。
分離動詞
- 前つづりにアクセントがある
- 現在形では前つづりが文末に行く
- 副文では分離しない
- 過去分詞では 前つづり + ge + 語幹
- zu 不定詞では 前つづり + zu + 動詞
例
- ankommen – kam … an – angekommen
- einsteigen – stieg … ein – eingestiegen
- aufstehen – stand … auf – aufgestanden
非分離動詞
- 前つづりにアクセントがない
- 前つづりは分離しない
- 過去分詞に ge- がつかない
例
- entdecken – entdeckte – entdeckt
- verbringen – verbrachte – verbracht
- verstehen – verstand – verstanden
大切なポイント
- 強く読む前つづりは分離しやすい
- 分離動詞は 枠構造 を作る
- 分離動詞では、本体の不規則変化にも注意 が必要
- 完了形では ge- の位置
- zu 不定詞では zu の位置
- be-, emp-, ent-, er-, ge-, ver-, zer- は非分離が基本
- 同じ前つづりでも、意味によって分離・非分離の両方があることがある
まず覚えたい形
- Er steht um fünf Uhr auf.
- Ich weiß nicht, wann er aufsteht.
- Er ist früh aufgestanden.
- Es ist schwer, früh aufzustehen.
- Ich besuche ihn.
- Ich habe ihn besucht.